はじめに
統一教会(世界平和統一家庭連合)などのカルト教団に対する多額の献金が社会問題となっていますが、もし子どもが得体の知れない新興宗教に入信している場合、その子に遺産を相続させると、遺産の全部をその宗教団体に献金されてしまう可能性があります。
このような状況では、遺言書を作成し、新興宗教に入信している子どもが、その宗教団体から脱退し改宗した場合に限り、相続させるという条件付きの遺言書を作成することができます。
そこで、このページでは、条件付きの遺言書の作成方法を次の事例をもとに紹介します。
(事例)
私には2人の娘がいます。長女は、ある新興宗教に入信しており、私財のすべてをその宗教団体に献金しています。長女に遺産を相続させると、恐らくその遺産もすべて献金されるでしょう。そのため、現状では、私は長女に遺産を相続させたくありません。しかし、今後、長女がその宗教団体から脱退し、改宗するのであれば、相続させようと考えています。
条件付き遺言書のサンプル
遺言書 第1条 遺言者は、現金及び預貯金、株式、生命保険、不動産、その他財産の価格の多寡にかかわらず、この遺言書に記載のない一切の財産を次女〇〇に相続させる。 第2条 遺言者は、長女〇〇に、遺言者の有する下記預金を同女が〇〇宗教団体を脱退し改宗することを条件として相続させる。 れんげ銀行日生支店の遺言者甲野太郎名義の預金 第3条 遺言者は、この遣言の執行者として、次の者を指定する。 岡山市北区西古松二丁目26番22号 上杉第8ビル西古松1階101号室 司法書士れんげ法務事務所 司法書士 梅本光 2 なお、遺言執行者に対する報酬は、遺言者と司法書士との間の報酬約定書に定める額による。 令和〇〇年〇〇月〇〇日 遺言者 甲野太郎 印 |
第1条について
この事例では、相続人は長女と次女です。通常、彼女たちの法定相続分はそれぞれ2分の1ずつとなります。しかし、遺言によって、これとは異なる相続分の指定が可能です。例えば、親が遺言で次女だけに全財産を相続させることを決めることができます。
ただし、長女には遺留分という権利があります。これは、相続人が法律上最低限受け取るべき遺産の一部を指します。この事例では、長女の遺留分は長女の法定相続分である2分の1の半分、つまり全財産の4分の1です。もし長女が遺留分侵害額請求権を行使すれば、全財産の4分の1に相当する金銭を請求することができます。
第2条について
相続分の指定について条件を定めることも認められています。
この事例では、遺言によって相続分を受けるための条件として、新興宗教を脱退することが指定されています。このような条件設定は、信教の自由を侵害しているのではないか問題となります。
しかし、長女は私財のすべてを宗教団体に献金しており、相続財産も献金される可能性が高いのであれば、遺言者は相続財産を他の目的で有効に活用されることを望んでいると考えられます。そのため、相続財産を保護する意図で、このような条件を設定することは合理的と考えられます。
ただし、宗教団体から脱退し、改宗するという条件が満たされたかを判断するためには、どのような事実があれば宗教団体から脱退したといえるのかを明確にしておく必要があります。遺言執行者には、このような事情の詳細を事前に伝えておくことが望ましいでしょう。
第3条について
相続人間でトラブルが生じる可能性がある、又は相続財産が複雑で多額に及ぶときには、司法書士などの法律の専門家に遺言執行者となってもらった方が良いでしょう。
遺言執行者に対する報酬は、家庭裁判所が相続財産の状況その他の事情によって定めることになります。もっとも、遺言者が遺言に報酬額を定めた場合には、その報酬額に従うこととなります(民1018Ⅰただし書)。本文例では、報酬約定書に従って報酬を定めるとして、遺言執行者に対する報酬額が遺言で定められています。
※参考書籍 「遺言書作成・遺言執行 業務マニュアル/新日本法規/編集 東京弁護士会法友全期会」
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