不動産法務

抵当権が信託により移転後、さらに一部移転によって共有となった抵当権を一括して抹消できるか

1.事例

事例】
A株式会社が抵当権設定後、信託によりB信託銀行へ被担保債権を譲渡し、これに伴い抵当権が移転した。その後、更に一部について保険代位によりB信託銀行からC独立行政法人へ抵当権の一部移転登記がされ、現在はB信託銀行及びC独立行政法人が抵当権を共有している。

この抵当権について、一括申請により抹消登記をすることは可能でしょうか。

【回答
B信託銀行及びC独立行政法人について、抵当権抹消の登記原因及びその日付が同一であれば、一括申請による抹消登記が可能です。

根拠は、登記研究第416号130頁・質疑応答109、不動産登記法第104条第1項及び不動産登記令第5条第3項となります。

(参考)
登記研究416号130項・質疑応答109
登記原因証明情報は、必ずしも一つの書面で作成されていなければその適格性を有しないというものではなく、複数の書面を併せて当該登記の申請に係る登記の原因を証するものであれば差し支えない。したがって、Aが有する抵当権をBに一部移転し、A及びBの共有になった抵当権を抹消する場合に、登記原因及びその日付けが同一であるA及びBの弁済証書を別個に作成し、これを合綴して登記原因証明情報として、1件の申請によって抹消登記をすることが認められている。

不動産登記法104条1項
信託財産に属する不動産に関する権利が移転、変更又は消滅により信託財産に属しないこととなった場合における信託の登記の抹消の申請は、当該権利の移転の登記若しくは変更の登記又は当該権利の登記の抹消の申請と同時にしなければならない。

不動産登記令5条3項
法第百四条第一項の規定による信託の登記の抹消の申請と信託財産に属する不動産に関する権利の移転の登記若しくは変更の登記又は当該権利の登記の抹消の申請とは、一の申請情報によってしなければならない。

2.登記申請書の記載例

登記申請書の記載例は次のとおりです。


登記申請書

登記の目的   抵当権抹消及び信託登記抹消
原因      抵当権抹消 令和8年7月1日解除
        信託登記抹消 信託終了
抹消すべき登記 令和5年3月10日 受付
        第 6970号
権利者     D
義務者     (信託登記抹消申請人)B信託銀行
        C独立行政法人

-中略-

不動産の表示
 岡山市北区〇〇 〇〇番〇
 宅地 2000.00㎡
 信託目録の表示 信託目録番号第〇〇号


3.登記原因証明情報の記載例

・B信託銀行について


 抵当権解除証書(信託終了証書)

 令和5年3月10日 岡山地方法務局 受付第6970号をもって設定され、令和8年12月22日 岡山地方法務局 受付第37832号をもって移転された抵当権の目的物たる下記不動産の抵当権を解除します。
・抵当権解除原因 令和〇年〇月〇日解除
・信託登記抹消原因 信託終了(前記同日)

令和〇年〇月〇日

岡山市北区〇〇 
B信託銀行   
支配人 〇〇〇〇

不動産の表示信託目録番号

不動産の表示
 岡山市北区〇〇 〇〇番〇
 宅地 2000.00㎡
 信託目録の表示 信託目録番号第〇〇号


・C独立行政法人について


抵当権解除証書

 令和9年2月19日 岡山地方法務局 受付第7447号をもって設定された抵当権の目的物たる下記不動産の抵当権を解除します。
 解除原因 令和〇年〇月〇日解除

令和〇年〇月〇日

岡山市北区〇〇 
C独立行政法人 
理事長 〇〇〇〇

不動産の表示

不動産の表示
 岡山市北区〇〇 〇〇番〇
 宅地 2000.00㎡


4.委任状の記載例

・B信託銀行について


委任状

(住所) 岡山市北区津島南一丁目1番27号2F 司法書士れんげ法務事務所
(氏名) 司法書士 梅本光
 私は、上記の者を代理人と定め、登記原因証明情報たる令和〇年〇月〇日付抵当権解除証書(信託終了証書)記載のとおり抵当権の抹消登記及び信託登記抹消登記の申請に関する一切の権限(登記識別情報の暗号化及び原本還付請求を含む。)を委任します。

令和〇年〇月〇日

岡山市北区〇〇 
B信託銀行   
支配人 〇〇〇〇


・C独立行政法人について


委任状

(住所) 岡山市北区津島南一丁目1番27号2F 司法書士れんげ法務事務所
(氏名) 司法書士 梅本光
 私は、上記の者を代理人と定め、登記原因証明情報たる令和〇年〇月〇日付抵当権解除証書記載のとおり抵当権の抹消登記の申請に関する一切の権限(登記識別情報の暗号化及び原本還付請求を含む。)を委任します。

令和〇年〇月〇日

岡山市北区〇〇 
C独立行政法人 
理事長 〇〇〇〇


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