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相続登記は誰の名義にしたらいいのか?

-はじめに-

 ―「そのとき」では、遅いかもしれません。
 ご両親が亡くなったあと、相続登記(不動産の名義変更)をしないまま放置していませんか?
 相続登記をせずにいると、次の世代(あなた)が亡くなったとき、関係者が増え、手続きが複雑になってしまいます。
 家族の記憶が詰まった大切な家や土地を、将来きちんと引き継げるように整えておくこと―
 それが、相続登記という「次の世代へのやさしさ」です。
 相続登記は、ただの名義変更ではありません。
 将来の売却や管理のしやすさを見据え、誰の名義にすべきか、どのような遺産分割協議書(※1)にするか、ご家族の関係性やライフプランまで考えたうえで、慎重に判断する必要があります。 
 また、相続登記には多くの落とし穴があります。
・売却時に居住用財産の3,000万円控除(※2) や空き家特例(※3)が使えるか?
・認知症による「資産凍結」(※4)に備えた名義人選びはできているか?
遺産の分け方、残された配偶者の住む権利はきちんと守られているか?
増築したけれど登記していない建物はないか?
・もう解体してなくなった建物の登記がそのまま残っていないか?
山林や畑があれば、市区町村への届出が必要ではないか?
お墓や私道など、納税通知書に載っていない不動産があるか?
地域の共有地(公民館など)を誤って相続しようとしていないか?
二次相続(故人の配偶者の相続)のことを考えているか?
 ……など、見落としのない丁寧な確認が不可欠です。

 司法書士は、こうした様々な論点に目を配りながら、相続人の状況やご家庭の事情もふまえて、将来トラブルにならないように全体を整えていきます。
 次の世代に、負担ではなく「安心」を残すために。
 今できる準備を、一緒に考えてみませんか?

※1 相続登記には、原則、遺産分割協議書の作成が必要となります。遺産分割協議書は、相続人間の「契約書」のような役割を果たす重要な書類です。
※2 自宅を売ったとき、譲渡益から3,000万円を控除できる特例
※3 相続した空き家を3年以内に売却したとき、特定の条件を満たせば、譲渡益から3,000万円を控除できる特例
※4 認知症になると判断能力が失われるため、不動産の売却などの経済活動ができなくなる。こうした状態は、一般的に「資産凍結」と呼ばれている。

-相続登記ってなに?-

 不動産登記をご存じでしょうか?不動産登記とは、不動産を国に登録する制度のことです。そして、登録された不動産に関する書類のことを不動産登記簿といいます。国民1人1人に住民票があるのと同じように、日本の土地・建物にも、1つ1つ不動産登記簿があります。例えるなら、不動産の住民票といったところです。
 不動産登記簿には、主に、①その不動産がどこにあるか?②どれくらいの広さか?③誰が所有しているか?といった内容が記載されています。 
 不動産を所有されている方が亡くなられた場合、③誰が所有しているか?という内容を変更する必要があります。これがいわゆる不動産の名義変更と呼ばれるもので、相続人に変更する場合には、相続登記と呼ばれています。

-相続登記は誰の名義にしたらいいの?-

【相続登記は「将来の売却」を見据えることが重要】
 相続登記は、単純な不動産の名義変更のように思われがちですが、誰の名義にするかによって、将来的に数百万円もの税負担の差が生じることもあります。
 父が亡くなり、遺産として1,000万円の価値がある不動産があります。相続人は、母と兄と妹の3人です。この不動産は誰の名義にしたらいいのか、将来の売却を見据え、れんげちゃんと一緒に考えていきましょう!

-母の名義にした場合-

🔶メリット

・生前に売却すると、「居住用財産の3,000万円控除」が使える可能性がある
・母の死後売却した際には、「空き家特例の3,000万円控除」が使える可能性がある
(仮に1,000万円で売却すると約137万円譲渡所得税(※)がかかるが、これらの特例が使えれば譲渡益が3,000万円まで譲渡所得税は発生しない。ただし、生前に不動産を売却して現金化すると、母が亡くなったときの相続税の計算においては、不動産のまま所有していた方が評価額が低くなり、有利となる場合がある)
※売却時の諸経費30万円、取得費・取得時の諸経費の資料なし、所有期間が10年以上として概算で算出

🔷デメリット

母が認知症になると不動産を売却できなくなる
・母の死後、兄と妹の間で再度遺産分割協議を行う必要があり、協議が整わなければ不動産を売却することができない

-妹の名義にした場合-

🔶メリット

母が認知症になっても不動産を売却することができるため、母の介護費用(老人ホームの入居費用など)を売却代金から捻出できる
・母の死後、兄と妹の間で再度遺産分割協議が不要
・実家の近くに住んでいる妹が売却手続きに対応できるため、売却手続きがスムーズに進められる

🔷デメリット

「居住用財産の3,000万円控除」「空き家特例の3,000万円控除」が使えない可能性 
・母から見るデメリットとして、妹が不動産を勝手に売却する可能性
・兄から見るデメリットとして、売却代金は妹に支払われる

-兄と妹の共同名義にした場合-

🔶メリット

母が認知症になっても不動産を売却することができるため、母の介護費用(老人ホームの入居費用など)を売却代金から捻出できる
・母の死後、兄と妹の間で再度遺産分割協議が不要
売却代金を兄と妹で分けることができる

🔷デメリット

「居住用財産の3,000万円控除」「空き家特例の3,000万円控除」が使えない可能性
・母から見るデメリットとして、兄と妹が不動産を勝手に売却する可能性
東京在住の兄と共同で不動産を売却しなければならず、手続きが煩雑で手間がかかる
・兄又は妹が亡くなったら更に相続が発生して権利関係が複雑化するおそれ

-母の名義にしたデメリット(認知症による売却制限や再度の遺産分割協議の必要性)を解消する方法 その①「信託登記を活用」-

信託登記とは?

 信頼できる家族や第三者に不動産の管理処分権(売却権限など)を託すこと

🔶メリット

母が認知症になっても不動産を売却することができる
「居住用財産の3,000万円控除」が使える可能性がある
不動産の売却に際して条件をあらかじめ設定することができる
 (例:母が認知症となり介護費用を捻出するためなら売却OKなど)

🔷デメリット

・難易度が高い登記なので司法書士報酬が高い
・母が認知症にならず亡くなった場合、信託登記にかかった費用が無駄になる
・妹が適切に不動産を管理しなかった場合に、妹から不動産を取り返すのが大変

-母の名義にしたデメリット(認知症による売却制限や再度の遺産分割協議の必要性)を解消する方法 その②「取得費の経費計上」-

取得費の経費計上

・土地や建物の取得費を売却時の経費として計上することで、譲渡益が発生せず、譲渡所得税が課されない場合がある
・不動産の売却にあたっては、土地を購入したときの費用(取得費)などを譲渡所得税を計算する際に経費として計上できるため、結果的に譲渡所得税が発生しない場合がある
・このような場合には、認知症対策として信託登記を行わなくても、兄又は妹の名義で相続登記をしておくことで対応可能なケースもある
・なお、取得費に関する資料が残っていない場合には、売却価額の5%相当額しか取得費として計上できない

-妹(兄)名義にしたデメリット(売却代金が他の相続人に支払われない可能性)を解消する方法 その①「換価分割の検討」-

換価分割とは?

相続した不動産を売却して売却代金を兄と妹で分けること
・遺産分割協議書に「換価分割」である旨を明記していない場合、税務署からは、妹が自己の資金で兄に500万円を渡したと判断され、相続ではなく贈与とみなされて贈与税が課されるおそれがある
・また、「換価分割」である旨を明記していないと、仮に妹が売却代金を受け取った後、妹が兄に売却代金を渡さなかったとしても、兄は妹に対して売却代金を請求できない

-妹(兄)名義にしたデメリット(売却代金が他の相続人に支払われない可能性)を解消する方法 その②「代償分割の検討」-

代償分割とは?

妹が不動産を相続する代わりに、妹が兄にお金を渡すこと
・遺産分割協議書に「代償分割」である旨を明記していない場合、税務署からは、妹が相続の一環として兄に500万円を渡したのではなく、単純に贈与したとみなされて、贈与税が課されるおそれがある
・また、「代償分割」である旨を明記していないと、妹が兄に代償金を渡さなかったとしても、兄は妹に対して代償金を請求できない

-妹(兄)名義にしたデメリット(子どもが不動産を勝手に売却してしまうリスク)を解消する方法 「配偶者居住権の活用」-

配偶者居住権とは?

・亡くなった夫や妻の家に、残された配偶者がそのまま住み続けられるようにする権利のこと
・兄に相続登記をしたとしても、母が自宅に住み続けることが法律で保障される
・兄が家を相続する代わりに母が「住む権利」だけをもらって、他の財産を子どもに多めに分けるなど、相続のバランスを取ることができるのがメリット

-「兄」と「妹」の共同名義にした方がいい場合もあります-

換価分割は兄と妹の信頼関係があることが前提で、代償分割は妹に資産があることが前提
これらの条件が整わない場合には、不動産を兄妹の共同名義にしてもよい
・既に売却が決まっていて、兄妹が同居している場合など、共同名義にしても不動産の売却に支障がない場合には、兄妹の共同名義でもよい
・ただし、兄又は妹が亡くなったら更に相続が発生して権利関係が複雑化するおそれ

-司法書士が相続登記を行う際には、次のような点にも注意を払っています-

 (実際には、留意すべき点を挙げればきりがありませんが、代表的なものだけでもこれだけあります。)

🔶 遺産分割協議書って実はとても大切な書類なんです

 遺産分割協議書は、相続人どうしで「誰がどの財産を相続するか」を決めたことを書面にした、いわば契約書のような役割を持つ大事な書類です。この書類をしっかり作っておかないと、後になって、 「そんな話、聞いていない」「売却代金を分けてもらえると思っていた」というような行き違いにつながることも。その他にも、遺留分(相続人に最低限保証された遺産取得分)・特別受益(生前贈与)・後日判明した遺産の取り扱い、などを定めておくことも重要です。

🔶 相続登記にはこんな落とし穴も

 相続登記をする際には、上の画像にもあるように、次のような点にも注意が必要です。
増築未登記部分がないか
表題未登記がないか
滅失登記漏れがないか
・宅地なのに地目が田んぼや畑になっていないか
私道など共有持分を所有していないか
 こうした細かい点を見落としてしまうと、あとで売却の際に支障が出ることがあります。また、相続税が発生する場合には、二次相続(故人の配偶者の相続)を見据えた名義人選びが必要となります。

🔶 だからこそ司法書士に相談しながらが安心です

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