会社法務

歯科医がインプラント治療を行う際の治療内容の承諾書

 以前、通院している歯科医の方から、インプラント治療をする際に患者からもらう承諾書の作成を頼まれました。承諾書のひな型自体は簡単に作成できましたが、どこまで治療内容を記載すべきかについて調査するのに時間がかかりました。判例を調べたり消費者契約法を調べたりと、まさに骨折り損のくたびれ儲けでした(当時の歯医者さんこんなこと言ってすみません<m(__)m>)。

 「治療説明書(承諾書)のひな型はこちら

1 治療内容の説明については非常に重要で、この説明が曖昧であると、インフォームドコンセントの存在が不明確となり、診療契約書や同意書、承諾書を作成した意味がなくなります。たとえ治療の当時において歯科医に要求される医療水準で、かつ過失なく治療をしたとしても、インフォームドコンセントがなく患者が想定外の損害を被った場合には、歯科医に損害を賠償する責任が発生します。
 なお、「治療の当時において歯科医に要求される医療水準」について、判例(最判H7.6.9)は、「当該医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり、右治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情がない限り、右知見は当該医療機関にとっての医療水準であるというべきである。」としています。
 要約すると、歯科医が行う治療法が、類似の歯科医院で普及していたかどうかが基準の1つとなります。普及していなければ、かなり高度な注意義務を負い、歯科医の過失が認定されやすくなります。

(1) 説明義務の内容として、判例(最判H13.11.27)は、「患者に対し、当該疾患の診断(病名と病状)、実施予定の手術の内容、手術に付随する危険性、ほかの選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などについて説明する義務がある」としています。
 よって、この説明書には、上記判例を念頭に説明を行った上、その要旨を過不足なく記載しておく必要があります。手術・検査の内容によっては書ききれない場合が生じますが、その場合には、別紙を添付したりして説明する必要があります。

(2) 手術の方法に複数の選択の余地があったり、合併症や副作用の発生する可能性が高いような場合には、より個別具体的に承諾の趣旨を明らかになるようにすることが望ましいと考えます。
 例えば、「私は、手術の方法としては、①AとBの2つの方法があること、②双方の方法の医療知見や副作用、危険性等について説明を受けました。その結果、私はAの方法によって手術を行うことに同意します。万一、その方法を採ったために生じた結果や、貴院が別の方法を実施しなかったことについては、何ら異議を述べません。」といった文言として、AやBについては、患者自身の手で記載してもらうことが望ましいと考えます。

2 歯科診療も消費者契約法の規制対象となります。よって、消費者契約法が定める契約の取消し原因に該当する場合には、患者による診療契約の取消しが認められます。取消し原因としては、次の3つが重要です。
(1)重要事実についての不実告知(消費者契約法4Ⅰ①)
(2)不確実な事項についての断定的判断の提供(消費者契約法4Ⅰ②)
(3)不利益事実の不告知(消費者契約法4Ⅱ)
 もっとも、診療費用や診療期間を十分に説明し、それに加えて1に記載したとおりの説明義務を尽くしていれば、患者による診療契約の取消しは認められないと考えます。

3 1と2に共通して言えることは、積極的にデメリットや他の選択方法について説明することが重要ということです。

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