はじめに
相続財産に現金がある場合、管理・承継に当たってどのような点に注意すべきでしょうか。このページでは、故人が残した現金の調査方法や承継方法などについて解説します。
1 現金を調査し、発見状況を記録に残す
相続財産を捜索し、残された現金を確認するために、被相続人の所持品、自宅内、施設内、貸金庫内などを調査します。また、被相続人の銀行口座の生前の取引履歴を確認し、死亡直前の時期に一定の金額が引き出されている場合にはその行方を調査します。
調査の際、現金に関する遺産の帰属に関する問題が生じる可能性があるため、例えば封筒に入った区別可能な現金、金庫内の現金、封印された現金などが発見された場合、その状態を写真に記録したり、封筒を保管したりする必要があります。特に、被相続人と同居していた共同居住者がいる場合には、この問題がより複雑になる可能性があります。
被相続人の生前に後見人、社会福祉協議会(日常生活自立支援事業)、またはその他の財産管理者がいた場合、その管理者から財産目録などの報告を受け、財産の引き継ぎを行います。
さらに、相続人や他の親族、居住施設、病院、支援者などの第三者が、日常生活用の現金を預かったり、事実上管理したりしている場合もあるため、関係者に対して聴取を行い、預かり証の確認なども実施します。
2 現金の保管
相続財産としての現金は、通常、相続開始時には当然に分割されず、相続人は遺産分割が行われるまで、法定相続分に相当する金銭の引渡しを要求することはできません(最判平4・4・10判時1421 ・ 77参照)。したがって、相続財産としての現金の管理者は、遺言執行または遺産分割が行われるまで、その現金を全相続人のために保管する責任があります。
管理者は、現金が紛失しないように、専用の預金口座や金庫を利用し、財産を混同しないように細心の注意を払って保管します。
3 現金の特定
相続財産に含まれる現金については、その金額、管理者、保管場所などを明確に特定します。相続が開始された後、現金が遺族などによって使用された場合(葬儀費用、生前の債務、相続開始後の債務の支払いなど)、その用途と金額を確認し、相続開始時の現金の額を把握して記録に残します。
一方、相続開始後に遺産が解約、処分、回収、還付された場合、または遺産の利益として現金が得られた場合には、相続開始時の現金とは区別して保管します。
また、古銭、古紙幣、外国通貨、記念硬貨などが含まれていた場合、通常の現金とは異なり、その価値を専門業者に査定してもらったり、詳細に調査して、目録に記載して保管します。
4 遣産たる現金の承継方法
有効な遺言が存在する場合、その遺言に基づいて現金を受け継ぐ者に引き渡し、受領の証明として領収証を受け取ります。実務上、記録を残す観点から、通常は振込などの方法を使用します。
現金は通常、相続が開始された時点で直ちに分割されないため(上記最判平4・4・10判時1421 ・ 77)、遺言が存在しない限り、遺産分割の結果を待って同様に受け継ぎます。
5 相続開始後に被相続人の預金に入金された場合
被相続人の現金が相続開始後に被相続人の預金に入金された場合、預金は通常相続開始時には分割されず、遺産分割の対象となります。ただし、平成28年および平成29年の最高裁の判断により、相続開始後の増加分を含む遺産分割時の預金全体を遺産分割の対象とするかどうかについては明確に定まっていない点に注意が必要です。
しかし、相続開始時に存在した現金と、遺産分割時の預金残高のうち相続開始時に存在した現金に相当する増加部分とを二重に計算しないように調整する必要があります。現金は遺産分割の対象とされており、その扱いについては慎重に検討する必要があります。
おわりに
いかがでしたでしょうか? 現金は目に見えて触れるものなので、安易に考えてしまいがちです。発見した相続人同士が勝手に分けてしまうケースも散見されます。
簡単そうに見える現金の相続ですが、様々な論点が存在しますので、お早めに司法書士に相談してください。
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