相続

相続放棄の期間を伸ばす方法

はじめに

 相続放棄ができる期間は、「故人が亡くなってから3か月以内」ですが、条文上の正確な表現は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です(民915Ⅰ)。
 例えば、母と離婚して数十年会っていなかった父が1月1日に亡くなり、亡父の代理人である司法書士が2月1日に父の死亡を子に知らせたとします。この場合における「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、「1月1日」ではなく「2月1日」です。したがって、2月1日から3カ月以内であれば、子は父の相続を放棄することができるという訳です。
 しかし、長年連絡を取っていなかった父の財産状況を3か月以内に把握するのは難しく、死後の手続きも複雑で面倒な場合が多いです。それに、遺産相続に関連する問題は、しばしば親族や家族間の対立を引き起こします。例えば、四十九日が終わった後に手続きを始めようとして、相続放棄が可能な3か月の期限内であることを知った場合もあります。
 このような状況に対応するため、家庭裁判所に申し立てることで相続放棄の期間を伸長することが可能です(民915但書)。
 そこで、このページでは、相続放棄の期間を伸長する手続きについて詳しく解説します。

1.戸籍等の収集

戸籍申請書

 相続放棄の期間を伸長するには、相続放棄の期間を伸長する人が被相続人(故人)の相続人であることを証明する戸籍等が必要になります。また、相続放棄の期間を伸長する人が本当に本人であるかどうかを確認する必要があるため、印鑑証明書の添付が必要となります。具体的には、次の書類を収集してください。

・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の本籍が記載された戸籍の附票又は住民票
・相続放棄の期間を伸長したい人の戸籍抄本
・相続放棄の期間を伸長したい人の本籍が記載された戸籍の附票又は住民票
・相続放棄の期間を伸長したい人の印鑑証明書
・相続放棄の期間を伸長したい人の実印
・切手(申述人1人につき470円(内訳:84円5枚、10円5枚))
⇒相続放棄の期間の伸長の可否の結果を裁判所が送るのに必要となります。切手の代わりにレターパックでも対応してくれます。

※謄本(とうほん)は、戸籍内の全員について記録されたものです。抄本(しょうほん)は、戸籍のうち指定された人について記録されたものです。よく分からなければ、謄本を取得してください。

※戸籍の附票とは、住所履歴が記載されたものです。

※今まで戸籍等は本籍地でしか取得できませんでしたが、令和6年3月から最寄りの市役所で戸籍が取得できるように法改正がされました。例えば、東京に本籍があっても岡山市役所で戸籍等が取得できます。

※被相続人が兄弟姉妹の場合には、被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となります。被相続人の父母は第2順位の相続人で、生きていれば、兄弟姉妹に優先して相続権があるからです。

【関連知識】
相続人の順位と割合を具体例で分かりやすく徹底解説!

2.家事審判申立書等の作成

(1)家事審判申立書

 家事審判申立書を作成します。見本は次のとおりです。伸ばせる期間は裁判官が決定しますが、だいたい3か月は伸ばせます。

(2)原本返却申請書

 相続放棄に添付した戸籍等は、相続放棄申述書と併せて原本返却申請書を提出すれば、原本還付をしてくれます。なお、原本のコピーの添付が必要です。

3.家事審判申立書等の提出

 次の書類を家庭裁判所に持参するか、郵送で提出します。なお、提出先は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。 [ 相続放棄 管轄 ] で検索すると、裁判所のホームページがヒットします。

【提出書類】
▢ 家事審判申立書
▢ 原本返却申請書 
 ※返却して欲しい書類のコピーを添付すること。
▢ 被相続人の戸籍謄本
▢ 被相続人の本籍が記載された戸籍の附票又は住民票
▢ 相続放棄の期間を伸長したい人の戸籍抄本
▢ 相続放棄の期間を伸長したい人の本籍が記載された戸籍の附票又は住民票
▢ 相続放棄の期間を伸長したい人の印鑑証明書
▢ 切手(申述人1人につき470円(内訳:84円5枚、10円5枚))

4.審判書の送付

 提出した書類に不備が無ければ、約1週間くらいで、相続放棄の期間の伸長の可否についての「審判書」が家庭裁判所から送られてきます。

おわりに

 いかがでしたでしょうか? 相続放棄は簡単そうに見えて、隠れた論点がたくさん存在します。それに、相続放棄はやり直しがきかない一発勝負です。当事務所にご依頼くだされば、相続放棄の期間伸長 ⇒ 財産調査 ⇒ 相続放棄or遺産相続手続き をすべて代行することが可能です。お気軽にお問い合わせください。

※以上の書式は岡山家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。
岡山家庭裁判所の手続説明、書式例


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