相続

相続放棄をしたペットを引き取る方法

はじめに

 ペットは法律上、「物」に当たりますので、相続財産となります。したがって、相続放棄をする前に故人のペット引き取ったりすると、故人の相続を承認したことになり、無限に故人の権利義務を承継します(民920)。その結果、故人の借金を返済しなければならなくなります。
 しかし、いくらペットは法律上、「物」とはいえ、その存在は単なる所有物として割り切れるものではありません。ペットを飼ったことがある人なら分かるでしょうが、本当に家族の一員となり、飼い主の方の生活に欠かせない存在となります。
 ※この記事を執筆しているのは代表司法書士の梅本です。私は生き物全般が好きで、どんな生き物でも1度飼うと決めたら死ぬまで愛情を持って育ててきました。ハムスター、モルモット×2、ラット、ウーパールーパー、カタツムリ、犬、猫、亀etc ウーパールーパーも葬儀場で火葬しました。きちんと骨が残って骨壺に入れています。

1.相続放棄をしてもペットは引き取れるか

子どもと犬

 ペットは法律上、「物」に当たりますので、相続財産となります。したがって、遺産分割協議の対象となりますし、うっかり引き取ってしまうと、故人の相続を承認したことにもなってしまいます。
 ところが、ペットを管理・承継をする者にとっては飼育の負担が大きく、遺産としての財産的価値がない場合が多いです。
 遺産としての財産的価値がないのであれば、遺産分割協議の対象とはなりませんし、相続放棄の対象となった財産には当たりません(もちろん、相続人間でペットの財産的価値を見出して、遺産分割協議の対象とすることは可能です)。
 したがって、遺産としての財産的価値がないのであれば、「形見分け」という形で故人のペットを引き取ることができます。なお、「形見分け」とは、法律上の規定はありませんが、財産的価値がないか、財産的価値が僅かな動産(不動産以外の物)については、遺産分割協議や相続放棄の対象とせずに、相続人や親族、友人、知人等の関係者に分与して、処分を行うものです。「遺品整理」、「遺品引取り」と称されることもあります。
 「形見分け」について、詳しくは下記をご覧ください。

【関連知識】
相続放棄をしても引き継げるもの(形見、仏壇などの祭祀財産、遺体・遺骨、墓地)
 
 一方、遺産としての財産的価値があるペットであれば、遺産分割協議の対象となりますし、うっかり引き取ってしまうと、故人の相続を承認したことにもなってしまいます。
 例えば、たくさんのオオクワガタの幼虫、ペンギン、錦鯉、カワウソなどです。これらは、数十万円~数百万円で取引されています。うっかり引き取ってしまうと、故人の相続を承認したことになりますので、注意が必要です。

2.相続放棄をしたペットを引き取る具体的な手順

(1)死なないように世話をする

 まずは、ペットを自分の家に持ち帰るなどをして、きちんと世話をしてあげましょう。ペットが死なないように世話をすることは、「保存行為(民921①)」、「事務管理(民697)」として認められます。

(2)財産的価値を評価

 年老いた犬や猫であれば、財産的価値は通常ありませんから、財産的価値を評価するまでもありません。しかし、たくさんのオオクワガタの幼虫、ペンギン、錦鯉、カワウソなどは、数十万円~数百万円で取引されています。そこで、ペットショップ、ブリーダー、飼育業者等の専門業者に評価額の査定を依頼します。

(3)財産的価値がある場合

 財産的価値がなければ、「形見分け」という形で引き取ってそれでおしまいですが、財産的価値があるのであれば、そうはいきません。他に相続人がいれば、他の相続人に引き渡し、相続財産清算人がいれば、相続財産清算人にいったん引き渡す必要があります。
 相続財産清算人について、詳しくは下記をご覧ください。

【関連知識】
相続放棄をした家の解体費用は誰が払うのか?

(4)他の相続人・相続財産清算人から購入

 他の相続人や相続財産清算人に引き渡したあと、それでも自分が引き取って世話をしたいということであれば、他の相続人や相続財産清算人に対価を支払って購入します。

(5)他の相続人・相続財産清算人がいない場合

 この場合は少し困ったことになります。ペットを管理する人がいなくなるのです。このような場合にでも、ペットを自分が引き取って世話をしてあげたいのであれば、「保存行為(民921①)」、「事務管理(民697)」という建前で、世話を続ければ良いでしょう。
 法律上、ペットは自分の所有物とはなりませんが、あたかも自分のペットかのように一緒に暮らしていくことができます。

(6)行政への届け出

 例えば狂犬病予防法上、犬の所有者は犬を取得した日から30日以内に、所在地を管轄する市町村長に登録を申請しなければなりません。この他にも様々な法規制がありますので、最寄りの保健所にお問い合わせください。

3.承継者のいないペットの対応

 相続人全員が相続放棄をしてペットの管理者がいなくなった、ペットを相続したけど世話をする余裕がないなどといった場合、相続人や相続放棄をした人はいかなる対応をするべきでしょうか?

※ペットの飼育を放棄することはしないでください。動物管理愛護法・動物管理愛護条例、刑法等で処罰の対象となります。

 まず、第三者を対象としてペットの承継先を探して、引き取ってもらう方法を検討します。例えば、地域コミュニティーにおける募集や、愛護団体、NPO団体、動物病院、ペット里親紹介団体等です。相続放棄をした人が財産的価値のあるペットで売却した場合には、その代金は自分の財産と区別できるようにして残しておきましょう。そうしないと、相続放棄が取り消される可能性があります。
 次に、一定期間をかけて承継先を探したが引き取ってもらえなかった場合、都道府県等の自治体に引き取りを求めます。かわいそうですが、殺処分されることになります。

終わりに

 いかがでしたでしょうか。最初にも述べましたが、いくらペットは法律上、「物」とはいえ、その存在は単なる所有物として割り切れるものではありません。ペットを飼ったことがある人なら分るでしょうが、本当に家族の一員となり、飼い主の方の生活に欠かせない存在となります。
 相続放棄を検討している方でペットを引き取りたいという方は、お早めに司法書士に相談してください。

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